バッテリー上がりは、普通に車を使っているだけでも起きやすく、予兆を感じにくいうえ突然エンジンがかからなくなります。
車が動かなくなると焦りがちですが、ブースターケーブルやジャンプスターターを使い、手順を守れば自分でも安全に対処できます。
ただしケーブルをつなぐ順番を間違えるとショートや火花によるトラブルにつながることも。
自分での作業が不安なときは、無理をせずロードサービスを呼ぶ方法もあります。
バッテリーが上がったらどうすればいい?自宅と出先で対処法は違う
バッテリー上がりは場所に関係なく起こりますが、エンジンを始動するには電力を用意しなくてはならないため、自宅と出先では対処が変わります。
自宅であれば、家族の車を用意してブースターケーブルでつないでエンジンをかけたり、充電器で電力を回復させたりできます。
出先では救援車を用意するのは難しいので、ジャンプスターターを持っていなければロードサービスに連絡するのが現実的です。
路上での作業は事故につながる危険があるため、安全な場所に停まれているかを確認してください。
ブースターケーブルがあればバッテリー同士をつないでエンジンを始動できる
ブースターケーブルがあれば、バッテリーが上がった車と正常な車のバッテリー同士をつなぎ、電気を分けてもらってエンジンをかけることができます。
ただし、つなげるのは同じ電圧のバッテリー同士であるなど以下の制限があります。
- トラックなど大型車は24Vのため12Vの乗用車には使えない
- ハイブリッド車は車種によって電気を分ける側として使えない
- EVは12Vバッテリーの容量が小さくエンジン始動に適さない
ブースターケーブルはカー用品店やホームセンターで1,500円〜4,000円程度で購入できます。
排気量によって必要な電流値が変わるため、以下を目安に選んでください。
| 車種 | 電流値 |
|---|---|
| 2000ccまでの乗用車 | 80A |
| 2001cc以上の乗用車 | 100A |
ブースターケーブルは3〜5mが多く売られていますが、駐車場で隣の車との距離が離れていると届かないため、5mのものを選んでおくのが無難です。
ジャンプスターターは場所を問わず自力で始動できる
ジャンプスターターとは、車のエンジンをかけるための持ち運びができる予備バッテリーのことで、スマホを充電するモバイルバッテリーの強力版だとイメージしてください。
本体に内蔵されたバッテリーからエンジン始動に必要な電力を送れるため、救援の車がなくても自力でエンジンをかけられます。
スマートフォンの充電やLEDライトに使えるジャンプスターターもあり、バッテリーが上がってスマホを充電できない時や夜間の作業で手元を照らしたい時などの緊急時に役立ちます。
ただしジャンプスターター自体がバッテリーのため充電が切れていると使えません。
購入時は自分の車の排気量に合ったピーク電流の製品を選び、満充電にしてからグローブボックスに入れておいてください。
任意保険に付帯するロードサービスは無料で等級も変わらない
任意保険に付帯しているロードサービスは無料で使えることが多く、バッテリー上がりで呼んでも保険の等級は下がりません。
等級が下がらない理由は、ロードサービスが保険金の支払いではなく付帯サービスだからであり、翌年の保険料が上がることもありません。
利用方法は、保険証券と一緒に送られてくる緊急連絡用携帯カードやアプリに記載された、ロードサービス専用連絡窓口に電話するだけです。
ただし保険会社のロードサービスには以下のような制約があります。
| 保険会社 | 利用条件 |
|---|---|
| ソニー損保 | 保険期間中3回まで無料 |
| チューリッヒ | 保険期間中1回まで |
| アクサダイレクト | 保険期間中2回まで |
任意保険のロードサービス対象外だった場合はJAFを呼ぶ方法もあります。
ただしJAF会員であれば無料ですが、非会員だとバッテリー上がりの作業は21,700円かかります。
押しがけできるのはマニュアル車でイグニッションをONにできる場合のみ
押しがけは車を人の力で押してタイヤを回し、ギアを直結した状態でタイヤの回転をセルモーターの代わりにしてエンジンを始動させる方法です。
ATやCVTの車は、エンジンとタイヤが直結しない構造のため押しがけはできません。
またイグニッションがONにならないと、燃料ポンプや点火系に電気が流れずエンジンはかかりません。
押しがけには押す人が必要です。
下り坂であれば一人でも押せますが、車内でクラッチやハンドル操作することを考えると、2人~3人は確保したいところ。
平坦な道や上り坂になっている場所では、更に人数が必要になるでしょう。
国産新車でマニュアル車の設定がある車種は少なくなっていますが、スポーツカーや軽トラックのMT車に乗っている人なら最終手段として使えます。
ブースターケーブルのつなぎ方!順番を守り火花やショートを防ぐ
ブースターケーブルのつなぎ方に正しい順番があるのは、作業中にクリップや工具がうっかり車の金属部分に触れてショートや火花が散るのを防ぐためです。
作業前は電気を分ける側の車のエンジンを止め、バッテリーが上がった車もキーをOFFにし、ライトやエアコンなどをすべて切ります。
通電すると赤と黒のクリップ同士が触れてもショートするため、持ち替える時はクリップやボディなどの金属部分に接触させないでください。
ブースターケーブルをつなげる順番と外す順番
先にマイナスをつなぐと車体全体が通電状態になるため、プラスのクリップや工具がボディに触れただけでショートや火花が起きます。
実際に作業していると、プラス端子のネジを金属製の工具で締めている時に、工具の端がボディに当たって火花が飛ぶことがあるので、必ずプラスから先につないでください。
- バッテリーが上がった車のプラス端子に赤をつなぐ
- 電気を分ける側の車のプラス端子に赤をつなぐ
- 電気を分ける側の車のマイナス端子に黒をつなぐ
- バッテリーが上がった車のエンジンブロックなどの金属部分に黒をつなぐ
エンジンがかかったら、つないだ順の逆で外します。
- バッテリーが上がった車から黒を外す
- 電気を分ける側の車のマイナス端子から黒を外す
- 電気を分ける側の車のプラス端子から赤を外す
- バッテリーが上がった車のプラス端子から赤を外す
ハイブリッド車は救援車として使えない
ハイブリッド車は電気を分ける側としては使えないため、知らずにブースターケーブルをつなぐとハイブリッドシステムの故障につながります。
搭載されている12Vバッテリーは、通常のガソリン車に比べて容量が小さく、他車のセルモーターを回せるほどの電力がありません。
自車の電圧低下により、ハイブリッドシステムの誤作動を招く可能性もあります。
自動車メーカーの取扱説明書でも、ハイブリッド車で他車のバッテリー上がりを助けることはできないと明記されています。
救援用端子を使用して、他の車のバッテリーあがりを救援することはできません。
引用元:トヨタプリウス取扱説明書
反対に、ハイブリッド車がバッテリー上がりを起こした時に、他の車から電気を分けてもらうのは問題ありません。
ケーブルの断線やクリップの曲がりは電力不足の原因になる
ブースターケーブルは見た目が正常であっても、クリップの曲がりや内部で断線しているとセルモーターを回すだけの電流が流れず、エンジンがかからないことがあります。
クリップの先端は丸い切り欠きのような形状になっており、端子を挟み込むことで広い接触面から電流を流します。
ただしクリップが曲がっていたりバネが弱くなっていると切り欠きの頂点部分だけが端子に触れた状態になり、つながっているように見えても接触面が小さいために十分な電流が流れずセルモーターを回せません。
ケーブルの中で銅線が切れかけている状態も流れる電気の通り道が細くなり、セルの回り方が弱い、ケーブルが熱を持つといった原因になります。
バッテリー上がりの原因は電気の消し忘れと寿命
バッテリー上がりの主な原因は、室内灯やヘッドライトの消し忘れで電気を使い切ってしまうことと、バッテリーの寿命で電気をためられなくなることです。
ただし実際には短距離走行の繰り返しや長期間乗らないことで充電量が不足し、普段どおり乗っていてもバッテリーは上がることもあります。
ライトの消し忘れや半ドアによる電気のつけっぱなし
ライト類や室内灯をつけたままエンジンを切るとバッテリーの電力だけで点灯し続けるため、時間がたつほど電力を使い切ってバッテリーが上がります。
実際には、スモールランプを消し忘れたまま駐車する、ドアやバックドアが少し開いていて室内灯が点きっぱなしになる、駐車中にハザードを消し忘れるなどが原因に。
エンジンを止めている間は発電されないので、バッテリーの残量は減るいっぽうです。
最近の車はエンジンを切るとヘッドライトが自動で消える車種が多くオートライトも普及しているため、以前よりヘッドライトの消し忘れだけでバッテリーが上がることは減っています。
搭載しているバッテリーを40B19クラス(満充電で28Ah)、室内灯を消費電力10Wの白熱球とした場合の消費電力は以下のとおりです。
- 10W÷12V=消費電流 約0.83A
- 28Ah÷0.83A=約34時間
バッテリー容量を使い切る前であってもセルを回せなくなることがあり、劣化したバッテリーや冬場では電力の消耗が早くなくなります。
寿命によるバッテリーのおとろえ
バッテリーの交換目安はメーカー発表によると2~3年とされていますが、あくまでも点検や交換を考え始める時期と考えてください。
バッテリーには寿命があり、使用環境により大きく異なりますが、平均すると2~3 年くらいで寿命となります。
引用元:古河電池
バッテリーの寿命は、走る距離や1回あたりの走行時間、気温、駐車場所の環境などで大きく変わり、実際は5年以上使えることも。
毎日ある程度の距離を走っている車なら、走行中に十分な充電がおこなわれるため、バッテリーは長持ちしやすいといえます。
メーカーが2~3年を交換目安としているのは寒冷地や夜間走行の多い車など、負担が大きい使い方まで含めて早めに交換できるようにしているためです。
ただしバッテリー上がりを起こさず使えているからといっても性能が維持されているわけではなく、内部では少しずつ劣化が進んでいるので、突然エンジンがかからなくなることもあります。
アイドリングストップ車は、エンジンの停止と始動を繰り返すぶんバッテリーの負担が大きいため、交換時期は早くなりがちです。
製造年月日はバッテリー上面やラベルに表示されているので、購入から3年以上たっているならカー用品店やガソリンスタンドで電圧チェックをしてもらってください。
車を動かさない間も電気は少しずつ減っている
車に乗らず駐車場に止めたままでもバッテリーの電気は少しずつ減るため、放置するとエンジンを始動できるほどの電力がなくなります。
バッテリー自体が自然に放電するうえ、車に使われている電装品の待機電力としても電気が使われるためです。
自然放電は、バッテリーに何もつなげていなくても、内部の化学反応で少しずつ電気が失われる現象です。
車を使っていないのに電気関連の機器に流れる電流は暗電流と呼ばれ、時計、カーナビ、セキュリティ機器、ドライブレコーダーの駐車監視機能など、装備によって消費電力が変わります。
一般社団法人電池工業会の調査データによると暗電流は一般的には10~30mAとされており、40B19クラスで27Ahのバッテリーであれば26日でエンジンがかからなくなります。
数日で上がることは少ないものの、数週間から1か月以上乗らない状態が続くと始動が困難になるため、1~2週間に1回は30分ほど走らせるようにしてください。
